ホリウッド。
窄めた肩が、もう遠い昔のことのように思える。
嫌がらせをする汗に、友人と出会った頃を思い出す。
丁度、袖を捲り始めた五月のことだった。
路上で喧嘩したり、マイクで殴られて歯が欠けたり、素面ではとても言えないことを言いあったり。
雨の日の新宿で逃走劇を繰り広げたり、傷つけてしまったりもした。
僕は。僕の好きな人たちが、ある程度幸せに暮らしていて。
たまに、くだらない憂鬱に悩んだりして。
何処かで愚痴をこぼして、色恋に目を泳がせて。
ゆっくりと、季節を撫でるような暮らしを過ごせていれば。
それで、良かったりします。
少しでも、溢れないように。
抱え過ぎた幸せは、売ってしまえばいい。
矯正を外したあの子や。斜視の目で頷いた昔の恋人や。顔向けできない友人や。姓も知らない彼女や。足拍子を数えあった彼奴。
世界って言うと大げさで、この街はって言うとちっぽけな。
上の心の好意や、その先のない愛を。
大切に仕舞っておきたい。
朗報が、静かに届くような距離で。
変わらずに、酔いどれていたい。
だから、次会ったときは。
あらすじを読むような顔で、話してほしい。