blue。
疫病は、相も変わらずに悪戯を続けている。
やる気をなくして、実家に帰る日はいつになるのか。
同調圧力で隠した口元。
繊維の裏で、舌を出してみたりした。
年の瀬らしく今年を振り返れば。
寒さに顔を顰めるまで、ずっと一人だった。
憂鬱とか、やるせなさとか、後悔とか。
どうしようもないそれらと睨めっこをしながら。
千鳥足で履物を鳴らしていた。
頭痛が玄関を叩くくらいの頻度で、人と知り合ったり。「多分、もう会わないな」って思ったり。
そんなことを繰り返していたけれど。
朝も、夜も。一人だった。
逃げるように、好意のない体温に触れて。
誤魔化すように眠る僕に、嫌気が刺したりした。
頭の隅に「上着」が居座るようになってから。
きっと、その頃から「師」は準備運動を始めてた。
「師走」とは、誰がそう呼んだのか。
よく言ったもんだよね、本当に。
歳末に、好意が溢れて仕方がない。
もう、一人じゃない。
出会いの仲介も、再会の仲介も。
思い返せば同じ人だった。
煙草を辞めてしまった、癖毛の彼に。感謝と愛を。嫌がられる程送りたい。
相変わらず、可愛い奴だった。
相変わらず蹴られたし、相変わらず酔っていた。
身長は、もっと高くなっていた。
好きな人達や、好きな人に。
また会えたり、出会えたりした一年。
一年というより、冬と言うべきか。
思い出のほとんどが、冬で息をしていて。
そんな冬に、また思い出が増えた。
沢山の優しさに生かされていて。
少しのあざとさに躓いたりする。
「僕に振り回されてほしい」
なんて、小言で綴っておきながら。
僕が振り回されてばかりだ。
抱えて、溢れてしまいそうな好意。
零れてしまわないように、伝え続けていたい。
伝えられる距離を保てるように。
もう、離れてしまわないように。離してしまわないように。
僕は、僕の好きな人達のことが。
大好きです。
とても。好きです。
好きな人達の、好きな人も。
僕であったら幸せだな、と。
そんなことを思う夜。
小言を綴っていると。
たまに「くさいな」なんて笑ってしまいそうになることがある。
でも、僕は口下手だし。
言葉や、言葉を選ぶ時間が好きなので。許して欲しい。
好意や、約束を頼りに。これまで必死に生きてきて。
好意や、約束を頼りに。これからも生きていきたい。
その道中を、言葉や譜面で綴りたい。
僕は目が悪いから。
これからのことを考えると、不安に目を瞑りたくなるときもある。
だから。これからことは、約束と計画だけにして。
今は、今溢れたこの好意を。
抱えたまま歩いて、抱えたまま眠りたい。
来年は、きっと素敵な一年だ。
眠っている間に、雨が降っていたらしい。
濡れた路面が眩しくて、透明な空に上目を遣った。
硝子の欠片を蹴飛ばして、二回目の道を歩いていた。
後ろに延びた影は二つ。
その繋ぎ目に、優しさが眠っている気がした。