このごろ。
三日に一度は頭に痛みを感じるのだけれど。
今朝のそれはとても酷かった。
頭を抱えながらロキソニンを探した。
焼酎に気の抜けた炭酸水を混ぜて、ロキソニンを腹に流し込んだ。
真っ先に思ったことが「これ、もう水割りじゃん」だったので、こんな頭ではそりゃあ頭痛にもなるなとも思った。
この街の天気に抗うように、嫌な情報が飛び交う一日だった。
ここ最近は、ずっとそんなもんだったけれど。
頭痛と同じで、とくに酷かった。
仕事の最中。客が楽し気に友人の話をしていた。
相槌と愛想の空白に、昔のことを思い出していた。
帰宅して、炭酸水を開けた。
今度は、力強い破裂音が鳴った。
腹を満たした灰皿に、過食を強要しながら。
「どうしたらいいもんかね」と、散乱した衣類に問うてみた。
「誰にも、頷かなくていいのにね」と返事をしたので、病院に行こうと思った。
誰にも。
誰にも、頷かなくていいのにね。
車窓に俯く彼女の憂鬱を、夕焼けが溶かせばいいのに。
機嫌の良い風が、朗報を運んでくれればいいのに。
相対した苦悩の割に、実りのない暮らしの中。
振り返って見る蹉跌は、おどけながら此方に手を振っている。
冷戦でさえ、息を呑んで見る。
葛藤。五月、沈黙の午後。
小銭にもならないこの感性を、愛していたいと思った。
天井を泳ぐ煙の背景に、魔法使いの猿が歌っていた。
明日どれだけ面倒でも、部屋の掃除をきちんとするよ。
たまった洗濯物も干して、あなたを思って言葉を書くよ。
暮らしがどれだけみすぼらしくて、維持するだけで目が回っても。
ただ受け容れるだけの掃除機と、回り続ける洗濯機のように。
好きな歌など聴けなくても。
会いたい人には会えなくても。
行きたい場所には行けなくても。
黙って全てを受け容れるから。
そしたらまだ、人間でいられるんかなぁ。
五線譜の表側。
東側の窓へ逃げる煙を見送ってから、手を振る蹉跌に背中を向けた。