番傘に積もる。
「明日、雪降るってよ」
口調は定かではないが、ラジオからそんなような声が聞こえた。
気になって調べてみれば、確かに降雪の予報が出ていた。
思えば一月も半ばを過ぎて。
これがライブなら、全く頭に入らない土地いじりのトークが始まりそう頃だ。
年齢を指で数えていた頃。
土地柄もあって雪は慣れたものだったし、歳相応に嬉しい天気でもあった。
数える指が足りなくなってから二年が経つ頃に東京に来た。
この土地にとって、降雪は予報も含めて一大事らしい。
「こんなに煙たがられるものだっただろうか」
東京に来た当初にそう思ったことを覚えているし、今でもそう思う。
正直、雪よりも雨のほうが好きだ。
それでも、折角なので。
明日目が覚める頃、雪が街を撫でていることを願っている。