カフェ・ホリウッド/隙間。
いつか、あなたが。
猥雑な色恋に疲れたとき。
此処で、硝子を冷やして待っています。
相対した寒気。
曇り空に塩を撒いて、四股を踏み始めたこの頃。
相変わらず、指が痛い。
「指痛てぇ」と小言を綴ってから、一月程が経過した。当初に比べれば、大分良くなった方だけれど。
相変わらず、指が痛い。
痛みと同じように、相変わらずなことばかりだ。
先日、頭のおかしい酔っぱらいと酒を飲んだ。
フレンチトーストをアテに酒を飲むような人だった。
結果、四件も店を梯子して。千鳥足で八王子を歩いていた。
酔っぱらい同士が出会って、よく何事もなく一日を終えれたなぁと思う。
なんか、カラオケの壁殴ってたけど。
指、大丈夫かなぁ。
皆、知ってる?指って怪我するとマジ痛いよ。
気を付けてね。
「次は新宿で」
と、約束をした。
歳月の。その流れを、肌で感じる。
今年の臍を舐めて、愛撫を終えたこの頃。
腿に手をかける季節になって、ようやく。
ようやく、好きな人達に会え始めた。
爪先を愛でるまで。
駆け足で会いに行きたい。
だから、付き合ってね。
思い出を捲れば、その大半は寒い時期だった。
補正というものは、無意識の内に態度が大きくなるもので。
頬を刺すその寒さも、足の裏を湿らせる雪も。
落ち着きのない別称も。
それら全てが愛おしくなる。
そんな季節に。
これからも、捲るような思い出を増やしたい。
皮膚が擦れ、骨が顔を出す程。
沢山の約束をしてきた。
その大半が、未遂のまま。
果たされる日を、静かにずっと待っている。
些細なそれも、酩酊の付録のそれも。
舌を恥じた誘い文句も。またね、も。
どれも、大事な約束だ。
約束は、必ずだよ。
ずっと。寂しさと、もどかしさを抱えている。
使い捨てる情事で、一時でもそれを誤魔化せてしまうことに。吐き気を催してしまう。
彼奴には、いつ会えるかな。
もう、会えないか。
舌を恥じた、いつかの誘い文句。
文豪の姓を名乗っていた、貴女へ。
緩やかに生きていてくれれば、僕はそれで充分なのですが。
いつか、気紛れか疲労か。何かの末に。
酔っぱらいをぶん殴りたくなったら。
浅草で、ホッピーを飲みながら待っています。
もう、指を怪我したりなんかしない。
ギターが弾けなくなるし。
約束も、出来なくなる。
待ち合わせの途中。
針を飲むのは、もう嫌だよ。
ねぇ、楽しくないでしょ。
楽しいことしようぜ。